「雨中石山寺」4
途中、シャガが至る所に咲いていた。
多宝塔正面の階段にさしかかると前に鐘楼が見える。
左に折れて上りかけたその階段で、妙なものを見つけた。
階段は私の鬼門であるから手すりをしっかり握る。ほぼ下を向いたままの状態で上る。で、気づくことができたのだ。
階段は私の鬼門であるから手すりをしっかり握る。ほぼ下を向いたままの状態で上る。で、気づくことができたのだ。
それは石化したような木の根だった。あたかもコンクリートで階段を補強したかのようにぴったりと接着している。
木のたおやかさ、したたかさ、うつくしさ。
そして弱く、もろく、はかなく、……。
顔を上げると多宝塔がある。
木のたおやかさ、したたかさ、うつくしさ。
そして弱く、もろく、はかなく、……。
顔を上げると多宝塔がある。
上りきってあらためて見上げる。雨の中に佇むインド象を連想した。
静かに濡れ、恵みを受けつつ巨木の森で雨が立ち去るのを辛抱強く待っている、もの言わぬ巨象。
大日如来を盗撮(?)した。
多宝塔の左奥には源頼朝と亀谷禅尼の供養塔が。
南西の隅にめかくし石。
だが、到底抱けるような大きさではない。
名月や寺男も観てししの音 uttiy
やっと辿り着いた豊浄殿は大きくなかった。