アサギマダラ とヨツバヒヨドリ

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伊吹山・山頂 2007.08.15
アサギマダラが飛んでいる。

アカソ以上に鮮やかなシモツケソウが咲き乱れ
これから秋を迎えようと美しい。
そのそばで、素朴なヨツバヒヨドリの白が
まもなく訪れるサラシナショウマの季節を前に
咲いている。
誇るでなく、
純白でもなく……。ヨツバヒヨドリ
温和しく、優しく咲いている。
敗戦の日もやっぱりこうして咲いたか……
アサギマダラがふるさとへ還った魂のように
ふわりふわり、ヨツバヒヨドリをわたっていく。

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一匹のアサギマダラが天空さして

青い空の中に消えていく……
まるで 昇天するように

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ヨツバヒヨドリ ・ 四葉(キク科ヒヨドリバナ属)

学名 Eupatorium chinense subsp. sachalinense
別名 ヨツバヒヨドリバナ  クルマバヒヨドリ
北海道、本州(近畿地方以北)、四国に分布する。丈は、高いもので2mくらい。
葉が
  フジバカマ(藤袴)は、三つに深く裂け、
  ヒヨドリバナ(鵯花)は、葉が裂けておらず対生する。
  ヨツバヒヨドリは、3~5枚輪生する、という。
花期は7~9月。

 

アサギマダラ (マダラチョウ科)

アサギマダラは,マダラチョウ科に属する前翅長40~60mmの可憐なチョウである.
 春の北上,秋の南下を繰り返す「渡り」をするチョウとしても知られている.
 夏には標高1000m付近の高地帯をさまようことが最近の調査でわかってきたが,
 北上から「さまよい」,そして南下の行動を解発する刺激要因がまだわかっていない.
 2000年に台湾台北市北部の陽明山でマークされた2個体が,鹿児島県と滋賀県でそれぞれ再捕獲され,
 この蝶の移動範囲が日本周辺の国外にも及ぶことが明らかになった.
 しかし,その移動の範囲の全貌はまだ明確でなく,謎の蝶と言える.(以下省略)
    「アサギマダラを調べる会」HP に詳しい。そちらから引用しました。是非ご覧下さい。

 

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イワウチワ ・ 岩団扇

奥伊吹 2009.04.13
わずかの風にも

花びらを震わせる、
まだ幼い少女のようにたおやかな花々。
波うつように咲いていた。

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白花もいくつも咲いていた。

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 3年前
岩団扇を初めて意識したのは

一眼デジを初めて手にしたころ、嬉しがって
近所にある山へ
――なんぞ撮ろう、と出かけたときだった。

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裏山というべきだろう。

古墳群がある岡は雑木に蔽われていた。

ここ数年、住宅地に隣接しているので、犯罪防止のためにつぎつぎと伐採されている。
いたしかたない。
その雑木林の小暗い枯れ柴の中で、幼い少女がもの陰から顔をのぞかせるように咲いていた。

 

イワウチワ (イワウメ科イワウチワ属)
学名 Shortia uniflora var. kantoensis
英名 Nippon bells
近畿地方以東に分布する常緑多年草
葉は光沢があって固く、団扇(ウチワ)に似ている(名の由来)。また、岩鏡(いわかがみ)に似る。
丈は15cmくらいまで。   
花期は4~5月。花の大きさは3cmくらい。花色は淡紅食。白花もある。

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タムシバ

2009.04.13 & 04.23 奥伊吹・甲津原
この時季
4月上旬前後、タムシバは奥伊吹でもよく見かけるのだが
如何せん…雑木に混じって撮りにくい。

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あるいはその姿こそタムシバらしいのかもしれない。
若木なら結構林道沿いにも見かけるので
なるべく近づいて撮ってみた。

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が、画にはならない。

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イワウチワを撮ろうと急交配の山襞を突き抜けたときだった。
 目の前にタムシバが数輪咲いていた。
 ――ほお~、と思ったとたん
このタムシバが変なのに気づいた。

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タムシバだから花季に葉がないのは当然だ。
そのことではない。
 ――花が少なすぎる!
それもあった。しかし、何よりも私を
ある想いにさせたのは、それが倒木だったことである。
根元の少し上辺りから見事なまでにポッキリ折れている。
       ――いのち かくあらなむ。

しばらくそのタムシバを眺めたあと……イワウチワを撮るべく移動した。

 

学名 Magnolia salicifolia (Sieb. et Zucc.) Maxim.
別名 カムシバ ニオイコブシ サトウシバ
本州、四国、九州の丘陵帯から山地帯に分布する落葉小高木。
 樹高は10mくらいまで。樹皮は灰色~灰褐色。
 葉は単葉で互生。広被針形。全縁。表面は灰緑色。 裏面は白緑色。
 葉を噛むとキシリトールのような甘味がするために「カムシバ(噛む柴)」と言われ、
   訛って「タムシバ」になったそうだ。
花期は3月~4月。花の大きさは10cmほど。コブシに先駆けて咲く。 
花弁は6枚。顎片は3枚。芳香がある。

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                                2013.04.01 京都府立植物園

   よく似た辛夷(コブシ)とタムシバとの違
 
タムシバをコブシと思いこんでいたのは私一人ではあるまい。
いろいろと違いがあって当たり前だが
一番分かりやすいのが、である。
タムシバは開花中に葉がない。葉がつく前に咲くのである。
コブシは逆に蕾のときからその側に葉をつけ、
開花が進むにつれて淡い緑を広げていく。
                      このため、鑑賞としてはコブシの方が人気。
                      タムシバを庭へ植える人はまずいないだろう。

       タムシバの蕾

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       コブシの蕾に葉っぱ

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コブシ・辛夷 

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今年の春は早足だった。
2009.04.05

三島池から見る伊吹山の南側にはもう雪がなくて、
霞がかかり、風だけがわずかに肌寒かった。

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2009.04.13
その辛夷がもう満開を迎え、

花びらを落としていく姿まであった。

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この木が好きだと言う人は多い。
私もその一人だ。

木の下に佇むと

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こころが洗われるように清々しくなるからだろう。
堀辰雄が見たかったという早春の

雪の中に咲く辛夷を私も見たいと思う。
              いつのことになるやら……


辛夷は春を告げる木の一つだ。

「田打ち桜」とも言い、この花が咲くと田植えだとか。
生活に密着した名はいい。
「田打ち」とは田植えの準備のことだ。
田植えの前に土を返す――農事が忙しくなり始めるころに咲く。


花言葉は「信頼」だそうだが、どうも気に入らない。

なら……「初心」。
 
コブシ モクレンモクレン属)
学名 Magnolia kobus
別名 田打ち桜
北海道~九州、および済州島に分布する落葉広葉高木。
 平地の林や日かげ、丘陵地の森や林の中に自生する。樹高は15mくらいまで伸びる。
 花期は3~4月。花の大きさは10cmくらいまで。
 果期は9~10月。果実が握り拳に似てデコボコしているというのが「コブシ」の由来とか。
 北海道には「キタコブシ」と呼ばれる変種がある。
 中国では「辛夷(しんい)」は木蓮のこと。
 花蕾は鼻炎、鼻づまりなどに効く生薬として漢方薬に配合される。
 材は樹皮を付けたまま茶室の柱に用いられたりする。
 
    辛夷の実
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                       2006.09.25 草津市立水生植物公園「みずの森

    辛夷の冬芽

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                                2006.11.30 京都府立植物園

    辛夷の木肌

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                                2006.11.30 京都府立植物園

 

花がよく似たタムシバとの違い

   辛夷は蕾の頃からすぐ側に葉をつけ、
   開花が進むにつれて葉をあおあおと広げる。
   タムシバはその反対で、
   花の側に葉はなく、開花中も葉はなく、花後に出す。
 
       タムシバの蕾

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                               2009.04.23 奥伊吹・甲津原

 

 

 

ウワミズザクラ・上溝桜

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                                                                                         奥伊吹・五色の滝 2009.05.04

ウワミズザクラ ・ 上溝桜

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桜にもいろいろある。
これはウワミズザクラ。

渓流沿いによく見かけ、
五色の滝への登り口の近くにも大きなウワミズザクラの木がある

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母が花を見て「庭に植えたい」と言ったが……
小さな庭には不向きだろう。

何千坪もある大きな屋敷なら……。
棚田の「畑」の民家に植えられているのを見たことがあるが
やはり渓流に咲くのが一番いいのかも知れぬ。

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ふくよかな独特のその花は
微笑みを誘うようで

成ろうことならいつも側近くで眺めてみたいものだ。

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「上溝桜」と書くのは、湿気に強いからか……。
いつのまにか「みぞ」が「みず」に変化した。

「ぞ」が入ると言いにくい。
また鑑賞としてではなく、生活の中でよく使われたのだろう。

 

ウワミズザクラ バラ科サクラ属)

学名 Prunus grayana
別名 ハハカ
北海道西南と本州、四国、九州に分布する落葉広葉の高木。樹高20メートルくらいまで。
 イヌザクラ(犬桜)Prunus buergeriana に似ているが、より大型。
 花期は4~5月。新しい枝の先に長さ6~8センチの総状花序を出す。
 花弁は5枚。雄しべは30本内外。
 果期は8~9月。果実は長さ7mmぐらい。黄赤色から秋に黒く熟す。
 つぼみや若い果実(「杏仁子」)は塩漬けにして食用。 
材はとても堅く、版木、彫刻材、樹皮は樺細工に使われた。
 
 おまけ
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                               2007.04.15 京都府立植物園

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                                 2009.05.01 近くの山で

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                                 2009.05.01 近くの山で

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                                 2009.05.01 近くの山で

 

 

 

 

 

ユウスゲ・夕萓

ユウスゲが大分咲き出したと聞いて

まずは下見のつもりで出掛けた。

ユウスゲはおそくなって咲くというので
帰路につく前に撮ろうと決めていると、
帰るころ、濃霧発生。
(――おいおい 何すんねん……!)
霧はそのまま、消えなかった。

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2007.07.08 快晴

前回、まだ見頃までには間があるのを確かめたから

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目的は他に……。
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ユウスゲは明らかに増えていた。

 

2007.08.01 台風5号接近
――台風が来る前に……

と何故か焦る。
遅めに家を出た。
――まだまだ大丈夫やろ……。
と高をくくっていた。
ゴンドラから下りると見慣れた景色が眼の前に広がる。

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さすがに登山者は少なく、人影もまばら……。
花は16時30分ごろから開く。
それまで時間潰しにうろつき、
咲いていたユウスゲなどを撮った。

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予定では、そうこうしているうちに――いい頃合い!

といくはずだったが……風が激しくなってくる。
重い三脚を担いだカメラマンが次々とやってくる。
それぞれ風を気にしている様子だ。
私だって気が気でない。
しかし、台風を甘く見過ぎていた。
収まる気配がないどころか……。
「風速8mですね、今日は……」
――台風はまだ遠いのに……!
「18mになるとゴンドラを止めます」
係員の言葉が悪魔の声(シツレイ)のようだ。
NHKがユウスゲの取材をやっていた。
女性レポーターは風を気にしている。
録画中に髪の毛がボサボサになっていく。
私はヤケクソ半分に撮りまくったが……
言わずとも知れた結果――ボツの山、伊吹山 涙。
何とか数枚を記念にupしておこう

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豪雨一過の、2011.07.05
この日、晴れそうな気配に決断。
伊吹山山頂を目指した。
この時季
目立つのはミヤマコアザミとユウスゲばかりと言っても過言ではない。
三合目のユウスゲの群生を偲びつつ
ときおり顔を見せてくれるユウスゲをゆっくりと眺めた。
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三合目のユウスゲの壮観さはないが
涼やかに揺れる姿は

しとやかな女性を連想させる。

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ユウスゲ ユリ科ワスレグサ属)

学名 Hemerocallis thunbergii
別名 キスゲ(黄萓)
本州、四国、九州に分布する多年草
丈は1.5mくらいまで。
日当たりのよい草原に生える。ニッコウキスゲと同じ仲間。一日花。 
花は夕方に開花し翌朝には閉じる。
暗くなると夜行性の昆虫などにはこの花の色がよく見えるというのだが。
花期は7~8月。