AOSAGI君 in 奥伊吹 (「伊吹憧憬」-108の2)

AOSAGI君 in 奥伊吹 (「伊吹憧憬」-108の2)


   AOSAGI君、次に止まったのは
   少し離れた梢……。
   追うことにしてわざとらしく
   ゆっくり移動。


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   接近。   


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   また気づかれた……!

   
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   AOSAGI君、非常警戒に入る。
   長くした首の羽が逆立っているのが判る。


   「おまえさん…ひつこいねえぇ。
    猿之助から聞いたよぉ。
    ――このあいだ、間抜けな人間をコケにしてやった、って
    言ってたわ。あんたのことね。
    それ、安もんのレンズっての…。
    フン、撮れるモンなら撮ってみなさい!」



   ――AOSAGI君、早耳だ。
      このあいだのことを知っている!
                               「猿之助挿話」 を見られたし。

   ――あっ!
   また逃げられた。

   今度は、さらに遠く
   杉の天辺に……。

   AOSAGI君、飛びながら大きな声で叫んでいた。



   「ギャア…ばか、
    ギャア…馬鹿。
    ここまでおいで……」



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   それは、聞くに堪えない汚い声だった。
   鶴の声なら聞いたことがある。
   まるで違う。
   カラスの
   ――あー、あー、
      あほ。
      あー、あー。
   の方がいい。

   半ば諦めた私は、
   最後に数枚撮って


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   鴛鴦の方へ戻って行った。
   しばらく粘ったが
   鴛鴦は、もう姿を見せてくれなかった。