座禅草

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 〈自生する木々に守られている座禅草〉ということばが浮かんだ。「今日は

座禅草だけを撮るのをやめよう」と思った。周囲をぐるぐる歩き、座禅草を見

守る自生林を、その規模の小ささに何度も驚きながら撮った。そしてそのこと

を、もう少し考えていかなければならないように思えた。

 「座禅草の見頃はこの時期だけではない」とボランティアの老人が解説して

いた。なら、しばらく座禅草の四季につきあってみたくもなった。

 帰路、和邇平和堂で乾電池と、息子のためにパンを買った。〈これで嫁さ

んに愚痴られないな〉と、気分が一層明るくなった。


          2006,2,22

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 久しぶりに北へ行く用事に恵まれた。〈なら、座禅草の様子を見なければ〉

と躊躇なく決めて、予定より早く家を出ることにした。8時前に弘川の駐車場

に着いた。登校する小学生の一団とすれ違う。なんとなく気恥ずかしい。

 ――どんな光景が待っているのだろう。

 私は期待にわくわくした。まったく想像が働かない。脳裏に浮かんでくるの

は竹林と雑木に囲まれた小さな湿地だけだった。民家の間にある駐車場から徒

歩2分。普通の足なら1分だ。

 小川にかかる小橋を渡るともう眼前に竹林が、そして掲示板が視野を遮って

いる。数秒後、竹の間から青々として葉のようなものが見えた。まだよく分か

らない。歩みを進めるうちにぼんやりとイメージが形になり始めてきた。

 視界がひらける所まで来る。

 ――まるで野菜畑やん。

 思わず、声に出して言った。あたりには犬一匹いない。