お世話

(「木霊」30)

 「……長いね。」
 「ええ、長いですね。」
 「何年になる?」
 「さあ…? 覚えていませんね。
  あっ、さっきカメラで私たちを撮っていったひと、初めて見たのは……と、……」
 「たしか、25年前だ」
 「そんなになりますかぁ…。よく覚えていますね。」
  じゃあぁ~、100年くらいになりますか。お世話になりますね。」
 「なぁに、お前さんがいるから、お蔭で、退屈しないよ。」
 「長いですね」
 「ああ、長いねぇ。」

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